坂上

人生を決めた訓示

開局、そして新社屋への引っ越しという節目で、上司から訓示を聞く機会があった。その時の訓示が、自分の仕事の方向を決めた。大げさかもしれないが、人生の生き方を決めたといっても過言ではないものだった。その方は日本テレビから来た方で、大学の先輩でもあり、営業部門の責任者だった。

「私たちテレビ新潟だけが良くなろうとなんて考えなくていい。先発局も含めて、皆で新潟県を良くしていきましょう。新潟を良い故郷にしていく。それが私たちの仕事です。そして、テレビ新潟を日本一の会社にしましょう!」

細かくまでは覚えていないが、そんな内容だった。普通、開局したばかりの新しいテレビ局で、まして営業の責任者という立場であれば、自分の会社を如何に良くしようかと言うものだと思うが、この方の考え方は違っていた。「新潟県を良くすることが我々の仕事である」。それが一番のメッセージだった。

様々な会社からの中途入社組や、大学を卒業したばかりで右も左もわからない新人の面々に、これから何をしていけばいいのか?その方向をはっきりと示してくれた。TNNの羅針盤が示すものは、新潟県を良くすること。ローカル局の一つの理想を、大きな目標をはっきりと示してくれた。その時の訓示が自分の物差しとなり、やるべき仕事を考えるきっかけとなった。

日々の営業をしながら、「いったい何をやれば新潟を良くすることができるのか?」そのことばかりを自問していた。